「パパってほんとうに最低だね!」

唐突に息子に言われた言葉。

わけがわからず、一瞬、固まってしまった。

子供たちとゲームやレゴブロック、近所の公園で虫取りをするのが週末の過ごし方です。

息子はまだ4歳。出来る事、出来ないことがあり、遊びを手伝っています。

近くにいた娘がフォローしてくれて、冷静になる事が出来ました。

どうやら「パパってほんとうに最高だね!」と伝えたかったみたい…。

一気に視界が晴れ、子供たちとの遊びに再び精を出せました。

子供たちの言葉に一喜一憂するなんて…バカだとは思いますが、「言葉の力」を改めて実感した次第です。

そして、ふと思いました。

これってやる気を出すときの感覚に似ているな」と。

他人をやる気にする…。

難しいですよね。

一般的には色々な「仕掛け」をつかって試みられています。

金銭に代表される対価。フィードバックなどの声かけ。競争心をあおる事もする。

私の周りでも、

新入社員の教育係になったのだけど、やる気を引き出すのは難しい

課員の士気を高めたいのだけど、上手くできない

部下に能動的に仕事に取り組んでももらいたいが、難しい

などの悩みを良く聞きます。

どのような方法が効果的なのか?

今回は「部下・課員のモチベーション向上」について考察してみましょう。

1、適切なフィードバック・伝え方

部下への指導やフィードバック。

上司、マネージャーの立場の方であれば避けて通れない事ですね。

可能な限り適切な方法、効果的な方法で実施したいと、皆、考えているかと思います。

精神科医の樺沢紫苑さんの有名な著「アウトレット大全」では、クッション話法が効果的であると紹介されています。

  • イエスバット話法

先にポジティブな要素を伝え、あとから改善してほしい事、修正して欲しい事をつたえる方法。

改善点を先につたえると精神的なダメージが大きくなってしまいます。

しかし、こちらの方法であれば、ダメージが緩和され、改善してほしい点も受入られやすいとの事です。

以下が一例です。

「最近顧客からの評判も良く、売り上げも順調に伸びているな。素晴らしい。しかし整理整頓が出来ていない。そのことで余計な残業が発生しているように見えるぞ。」

  • イエスアンド話法

「イエスバット話法」よりもやわらかく伝えたい場合に利用できます。

プラスの要素にさらにプラスの情報をのせて伝える方法です。

「最近顧客からの評判も良く、売り上げも順調に伸びているな。素晴らしい。さらに仕事効率を上げられると最高だね!」

と言った具合です。

  • イエスハウ話法

さらにマイルドに伝える方法です。

改善点を直接伝えず、疑問文形式で相手に考えさせるパターンです。

こちらのサンプルは以下の通りです。

「最近顧客からの評判も良く、売り上げも順調に伸びているな。素晴らしい。どうすればもっと良くなるか一緒に考えてみよう」

私の息子ではないですが(笑)、伝え方ひとつで効果や印象は大きく変わります。

ぜひ有効だと思った方は試してみてください。

2、エンゲージメント

伝え方以外の要素でも、モチベーションを上げる方法はいろいろ考えられます。

人事領域でもよく使われる言葉で「エンゲージメント」があります。

Wikiによると、

「ワーク・エンゲージメントとは、仕事に対してのポジティブで充実した心理状態のこと。働くことへのモチベーションには、認知的、感情的、身体的関与の3要素が存在している。ワーク・エンゲージメントは、仕事に関連するポジティブで充実した心理状態であり、活力、熱意、没頭によって特徴づけられる」

このように紹介されています。

エンゲージメントを高めるためには、

  • 有意義な仕事を与える
  • 評価されていることを認識させる
  • 裁量権を与える

これらの3要素が大切とされています。

没頭し、のめりこんで仕事をする部下の姿…部下の成長を願うマネージャーとしては、とても嬉しい光景ですね。

 なお、「②評価されていることを認識させる」については、前段でお伝えしたフィードバック・伝え方にも通じるとところがあります。

エンゲージメントを高める観点でも、部下に適切にフィードバックする事は大切なのですね。

3、季節的な要因

5月病は有名ですね。5月病というのは新社会人や新しい職場と言った「新しい環境」に適応する事が難しい場合などに起こる、精神的な症状の総称のことです。

しかし、5月だけではなく9月~10月にも季節的な要因で体調を崩される方が増えるとの調査結果があります。

2015年のギャバ・ストレス研究センターの調査では、

「夏バテ」「気温の変化による体調不良」が原因で、ビジネスパーソンの40.9%が「9月病」を実感しているとの事。

9月病の症状としては、「疲労感」(79.9%)、「無力感」(62.5%)、「不安や焦燥感」(38.9%)、「イライラ」(34.8%)など。

季節的に太陽光を浴びる時間が減ってしまう事も、9月病の原因のひとつとなっているようです。

9月になると日照時間が短くなるため、人間が太陽光を浴びる時間が短くなる。

そのことで、脳内でセロトニンという物質の分泌が減ってしまうそうなのです…

セロトニンは自律神経を整え、心をポジティブにさせる。

別名「幸せホルモン」とも呼ばれます。

特に、室内での作業が多くなりやすいこのご時世では、日光を浴びる機会は、より少なくなりがちです。積極的に太陽の光を浴びる工夫が大切と言えます。

そこで、お昼の休憩時間の有効活用をお勧めします。

お昼休憩をデスクで済ますのではなく、外に出て太陽の光を浴びる工夫もしてみるのです。

私はお弁当を食べ終わってから、10分程度でも外出し、会社周辺を散歩します。

そうすることで短い時間でも気分転換ができ、午後の仕事も集中して取り組めます。

ぜひ一度試してみてくださいね!

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現在、企業の現場では、多くの管理職・マネージャーが「プレーイングマネジャー」として、自らの業績・目標を追いかけつつ、部下のマネジメントにも責任を負わなくてはならない…

といった、とても大変な環境の中で仕事をしています。

厚生労働省が発表した「労働経済の分析 働き方の多様化に応じた人材育成の在り方について」と言う調査結果があります。

上場企業の管理職を対象とした調査で「管理職としての悩み」を伺える内容でした。

最も多かったのは「部下がなかなか育たない(39.9%)」であり、多くの管理職が部下の指導に難しさを感じていることがわかります。

また、「部下が自分の指示通りに動かない」という悩みを挙げている管理職の割合も年々増加傾向にあるようです。

部下のモチベーション上げる事も大切ですが、ぜひ、管理職・マネージャーの皆様も「ご自愛」を忘れないで頂きたいですね。

参考文献

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1、アウトレット大全(樺沢紫苑著)

2、超影響力(メンタリストDaigo著)

3、労働経済の分析 働き方の多様化に応じた人材育成の在り方について(厚生労働省)