「健康経営」

すでに十分ご存知の方も、聞いたことがある方も、まだ馴染みがない方もいると思いますが、

ものすごく簡単に言うと、

「会社が、そこに勤める社員の心身の健康を維持・増進するために、

経営的な視点から、様々な取り組みを行っていく」ことを言います。

心身の不調を抱え、休復職を繰り返したり、

生活習慣病や、その予備軍の社員も非常に多く(おそらく、あなたも周りを見渡せば

いるいる!と感じることでしょう。もしくは自分自身!?ドキッと言う人もいるかも笑)、

何らかの不調を抱えながら働いている人のパフォーマンス低下による

企業損失は、約60万円/人・年間という数値的な研究結果も出ています。

生産性低下による損失だけでなく、企業イメージや採用活動、

社員の離職率などにも影響してくるため、

現在、健康経営の取り組みを行う企業さんがとても増えています。

(経産省が、健康経営に取り組んだ企業を表彰する認定制度もあり、申請数は年々増加しています)

普通に夜9時とか10時、もっと遅く深夜まで、多くの会社で

オフィスの電気が煌々とついていた10年前と比べたら、

すごく良い社会に変化してきているなぁと感じます。

そのような流れの中、私がこれまで、いろいろな企業に対して健康経営推進のサポートを行う中で、よく企業さんから聴くお悩み相談の上位は、

「健康に興味関心の低い人たちをどう底上げするか困っている」というもの。

よく、健康セミナーを開くと、「健康に意識の高い人たちばかりが参加し、それ以外の人たちは参加しない」ということが起こります。

会社としては、リスクの高い人たちへのケアは特に重要ですし、全社員平等にサポートする仕組みを整えることも大事です。

ですが、「全社員」という視点にフォーカスを置き続けていると、

いつまでも堂々巡りになり、苦しくなる可能性が高いです。

日本は同調圧力の強い文化なので、みんな一緒の視点がまだまだ根強いのかもしれませんが、

もし自分が社員の1人だったら、一個人として考えてみたら、

興味のないものに参加しなければならないという義務感ほど、

嫌なものはないですよね。

また、誰からから強制されると、さらに嫌になることもありますね。

子どもの頃、親に「勉強しなさい!」と言われると、

勉強する気が失せるのと一緒です。

成績の優秀な学生ほど、「親に勉強しなさいとは言われたことがなく、

自発的に勉強した」というリサーチ結果も出ているくらいです。

また、20:60:20の自然法則というのがあります。

あるテーマに関して

20人は「好き・優秀」などポジティブな面を発揮する人、

60人は、どちらでもない「普通」の人

残り20人は、「嫌い・不得手」など、ネガティブな面を発揮する人

と、

1つのグループの中で、必ず20:60:20の割合に分かれるという

法則があるんです。

全員が一つの物事・人を好きにも得意にもなれないし、やらないということです。

会社の中を見渡してみても、

大体この割合で、メンバーが構成されているんじゃないでしょうか。

もし、20の優秀な人を集めても、

またその中で20:60:20に分かれるというのが、この世の仕組み。

ちなみに、私たちの健康を司どる「腸内細菌」についても同様に、

20が善玉菌、60が日和見菌、20が悪玉菌で構成され、

このバランスが崩れると、お腹を崩してしまうようです。

何事も、ポジティブとネガティブの両面で、この世界は構成されています。

(これを、昔の人は陰陽とも呼びますね)。

個人的にも、社会的仕組みも同じくこの自然の法則が働いていますので、

20の悪玉菌(健康に興味が全くない人、不健康行動をやめたくない人)

をなんとかしようとするのではなく、

20の善玉菌(健康意識がすごく高い人)を大切にしながら、60の日和見菌(どちらにでも動く、中間的な人たち)

を少し善玉寄りにサポートしていく努力してみてはいかがでしょうか。

その方が、無駄な労力をする必要もなく、スムーズに全体的な底上げにつながります。

また、これも面白い話を聴いたことがあったので、シェアさせていただくと、

ある猿の集団が全く新しい習慣(例えば手を洗う)を身につけると、

全く別の村の猿たちも、新しい習慣を身につけた猿とは会ったこともないのに、

同じ行動を取り始めるそうです。

人も動物も、見えないエネルギーで繋がり合っていて、伝播していくものだというひとつの証拠ですね(この辺りは、量子力学という物理学の分野でも説明できることと思っています)。

誰かが健康行動を取り始めると、自然と伝播して、もともと健康に興味がなかった人も

「あれ!?」となって、興味を持ち始めるかもしれないということです。

もちろん、会社としては悪玉層?(笑)を見放すわけにはいかないと思いますので、

「健康」というキーワードではない別の切り口で興味を持ってもらい、

それが自然と健康にも結びつくようにすれば、いいかもしれませんね。

例えば、健康はどうでもよくても、お金には興味があるかもしれませんし、

キャリアとか仕事には興味があるかもしれません。

趣味を大事にしているかもしれません。

人生の4大テーマ(仕事、人間関係、お金、健康)の健康以外のキーワードと

絡めて、健康にも結びつくようにすれば、

全然興味がなかった人たちも、興味を持って取り組んでくれるようになるかもしれません。

もし、「なかなか底上げができない」と壁を感じているようであれば、

ぜひこんな新しい視点も取り入れてみてはいかがでしょうか。

はなみ ゆうか